(死を意識した夜)本日はフリーでお届けします。
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「リーマン独立物語」Go Go BARに魅せられて
9/19日分 本編)
真っ暗な部屋の中、手にはウィスキーの
缶が握られたままでした。
この頃は、朝から始まる債権者達の
取り立ての電話対応が
1日の仕事になっていました。
他の事は何も手につきません。
朝から晩まで電話が鳴りっぱなしで
出ないと、店に電話されたからです。
ただ、そんな電話に出ても
毎回・毎回同じ内容の繰り返しでした。
支払えるものなら、当然支払っています。
いくら、やいのやいのと言われても
無い物は無いのでどうしようも有りません。
それに対して、相手は当然の事ながら
「はい、そうですか。」
なんて引き下がりません。
取りあえず自分の仕事である、回収という
仕事を果たそうと、色々な言葉を並べて
きました。
それでもまだ、回収を業務をしている人間は
ましでした。事務的だったからです。
ところが、社長直々に取引していた
ところからの電話は、やはり感情的に
なりやすく、くそみそに言われる
事もしばしばだったのです。
社長にとっては、やはり直接のお金なので
エキサイトするのは当然でした。
私は電話対応にどう答えていたかと言うと
ほとんど、何も答えていません。
いや、支払えないので
答えようが無かったのです。
ただ、じっと相手が疲れて
電話を切るのを待つだけでした。
怒鳴り散らされたり、脅されたりしても
こちらが、「無理です・支払えないです。」
その1点張りなので、最終的には
「また、連絡します。」そう言って
ようやく相手方は疲れてきるのです。
電話を叩きつけるように切られた事も
何度もでした。
長い時は1時間近く、相手の恨み辛みを
聞かされていました。
そんな電話を1日中聞いているので
この頃から電話を聞く右耳が
聞こえづらくなってしまった程です。
相手の罵詈雑言を黙って聞いていると
ある時、全く聞こえなくなる時まで
有ったぐらいです。
多分頭の中が真っ白になり
拒絶反応を起こしたのかもしれません。
自分の静かな時間を取り戻せるのは
真夜中だけでした。
部屋の灯りは着けられません。
債権者に在宅がばれるのを恐れたからです。
静まり返った部屋で、自分の手を
じっと見ていると
突然視界が歪んできました。
そして手に自分の目から出始めた
滴(しずく)が落ち、視界がぼやけて
きました。
「うううう。」小さな唸り声か
泣き声なのか分からない声が
喉の奥から出て来て
私は両手で缶を握りしめていました。
「こんな事がいつまで続くんだ・・・。」
夜には夜で、明日からの催促の電話が
また来るのか
そう思うと、眠れませんでした。
その為に、酒を飲んで
もう本当に浴びるように飲んで
自分の体を酒の力で燃え尽きさせて
ようやく浅い眠りにつけたのです。
ふと、顔を上げて部屋を見渡ました。
部屋の中には楽しかった思い出が
一杯詰まっています。
初めて飼った子犬、ピンキーを
一生懸命育ててきた事。
甘噛みをするので、コードを
全て隠し、床には何も置かないような
そんな工夫が残されていました。
2匹目の妹分キララも飼いはじめ
我が家は本当に賑やかになり
家族に囲まれて毎日が幸せでした。
そんな宝物を失ってしまったのです。
私がソファに座ると、必ず私の膝に
彼女達は上がって眠っていました。
その寝顔は自分を守ってくれる人に
抱かれ、安心しきっている顔です。
しかし今の自分は、彼女達を守るどころか
債権者から追いかけ回される毎日です。
初めて購入したこのマンションも
手放さなければいけません。
購入し、初めて部屋に入った時の感動は
はっきりと思い返されてきました。
楽しかった日々が走馬灯のように
私の頭の中に浮かんできます。
「うううう。」小さな唸り声は次第に
大きな嗚咽へと変わり
私の握りしめた手には次から次へと
溢れ出る涙で濡れていきました。
この時突然、私に
極度の絶望感が浮かんできたのです。
それは何もかもを失ってしまった
暗い暗い暗黒の世界でした。
そしてふと、心の中にこんな言葉が
浮かんできたのです。
「もう死のう。疲れた・・・。」
Go Go BARに魅せられてはいよいよ
社長矢名樹の転落が始りました。
売上は絶好調、この世の春を
謳歌していたのもつかの間。
ある事件をきっかけに、瞬く間に
奈落の底に転げ落ちて行きました。
さて、矢名樹の運命は一体どうなるのか・・・
週刊Go Go BARに魅せられて
「リーマン独立物語」
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