私と投資との出会い6
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彼は私がどこの株を購入
しているのか
何故、そこの株を購入したのか
そんな事を聞いてきました。
私がファンダメンタル
企業業績の数値やその会社が
取り組んでいる
将来の企業の投資を
ベースにしていると話すと
私の目を見て大きく
うなづいていたのです。
私を見る先輩の目はどこか自信に
満ち溢れ、私は彼のその気配に
先輩の知識が私など足元に
及ばない、そんなオーラを
感じたのです。
投資をしている人間同士
話せば相手がどのレベルか
おおよそは分かるものです。
この時、今まで仕事でうだつが
あがらないと思っていた先輩が
大きな存在に変わり
私の前にいました。
2人で現在の株価動向や
先の見通しなどを話していると
ふとAR先輩が少し声のトーンを
落して、私に尋ねてきました。
「なぁM君(私です。)
今度NTT株が公開されるのを
知っているか?」
NTT株とはまさにこの時の
バブルの象徴と言われた株でした。
公開価格1株110万の株価が
公開されるや否や300万以上に
跳ね上がったお化け株です。
3株買っていればそれだけで
一気に1000万の近くの
資産になったのです。
それはもう夢のような株式上場
でした。
私はそのNTT株の情報の話は
情報誌等から知っていました。
しかし、この時この株がそんな
お化け株になるとは思いも
しなかったのです。
ただ、上場される事は
知っていたので
「はい、知っています。」
「1株単位ですが
凄い金額ですよね。」
そう答えたのです。
AR先輩が続けます。
「M君な、NTT株はどんな手を
使っても買えるだけ買っておけ。
必ず上がるから。」
「借金してでもな・・・。」
この時、AR先輩が何故私に
こんな話をしてくれるのかが
不思議でした。
ただ、社内で数少ない株式投資を
やっている仲間として親近感を
覚えてくれたのかも知れません。
それにAR先輩はうだつが
上がらないといっても
私からすると大先輩。
彼からすると、私はひよこの
新入社員という話しやすさも
あったのかもしれません。
彼は特に社内に親しい人間が
いるという話も聞いた事が
有りませんでしたから。
しかし、AR先輩の借金をして
でも買っておけの意気込みには
驚かされました。
まだ社会の右も左も分からない
私に、借金をしてまで株を購入
しろなんて、当然ながら
ピンときませんでした。
しかし、この時AR先輩の
助言を聞いていれば
私はひと財産築けたのです。
彼はその言葉通り、風の噂では
NTT株を5株購入したようでした。
購入には条件等があったので
何か彼なりにグレーなテクニックを
使ったのかも知れません。
※週刊東洋経済より
1987年2月9日の
NTT(日本電信電話)上場は、
それまで株投資に縁のなかった
個人を巻き込んで、国民的な
株ブームのきっかけとなった。
結婚資金を当て込んだ女性。
退職金をつぎ込んだ中年男性。
株の取得申し込みに必要だった
本人確認用の住民票を、
従業員から家族まで40人分かき
集めて申し込んだ飲食店経営者──。
当時の新聞・雑誌は
そんな熱狂ぶりを伝える。
上場前年の86年10月29日に
決まった売り出し価格は
1株119万7000円。
1株当たり純資産21万円のNTTは、
アナリストの事前予測では
60万〜80万円を妥当とする
意見が大勢だった。
大蔵省(当時)でNTT株の売
却プロジェクトリーダーを
務めていた松川隆志氏も、売
り出し価格の高さに不安を感じた。
さぁ、そして公開。
110万の株が3か月も経たない
うちに320万近くに・・・
そして社内でAR先輩の事が
大きな噂となって広がりました。
それはそうです。550万程の
資産があっというまに1600万
にも膨れ上がったのですから。
そしてその噂が流れた後
AR先輩は退職しました。
これには社内の人間は驚いたと
思います。なんせ、仕事ではなく
NTT株で社内で一躍有名人に
なった渦中の人であったからです。
そんな有名人がいきなり
退職したのです。
ただこの退職、実は
私は知っていました。
AR先輩の計画通りであった事を。
それはあの立ち話で
彼のこれからの人生の
プランニングとして私は
聞かされていたからです。
私は彼の退職した噂を聞き
彼との立ち話を思い返し
彼がその人生のプランニングを
実行し始めた事に
寡黙な彼の真の実力を
見せ付けられた思いでした。
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