私と投資との出会い 最終話
Seesaaブログ
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あの時、私に借金をしてでも
NTT株の購入をすすめた
AR先輩がこんな話を
しだしたのです。
「M君な、これは他の誰にも
言ってないんだけど
俺はこの会社辞めようと
思っているんだ。」
私はこの言葉に驚きました。
何故なら、こんなめちゃくちゃな
会社でも、私達の時代は就職が
厳しい時代。
ようやく入社出来て、私などは
その給料の良さに、大きな
やり甲斐を感じていたからです。
「えーどうしてですか?」
私は単純に驚いて、そう
聞き返したのです。
「この会社に先は無いよ。」
AR先輩が私を見て
そう言ったのです。
その顔は少し寂しそうにも
見えました。
「先が無い?」新入社員には
驚くような言葉でした。
先輩は続けます。
「アパレル業界は頭うちになるよ。」
AR先輩はそう言い切ったのです。
私は驚きの連続でした。
なんせ、商品を店頭に置けば
売れる時代。そんな絶好調の
アパレル業界が頭うちになるなどと
どうすれば、そんな言葉が
出てくるのかと。
「俺はNTT株で資金を作って
ワンルームマンションを購入し
資産作りする予定なんだ。」
「この会社にいても
仕方がないから。」
AR先輩は私の目をじっと
見ながら
そんな事を話したのです。
彼の言ったワンルームマンションを
購入し、それを賃貸に出す。
そんな資産作りのプラット
フォームは当時人気でした。
金余りと言われた時代背景を
ベースに、投資と資産作りを
兼ねた人気商品だったのです。
この頃読んでいた
東洋経済やプレジデントに
このような資産作りの事が
大きく取り上げられていて
私も僅かながら
興味は持っていました。
「アパレルはこの先必ず
頭うちになるよ。」
私はこの時、AR先輩が
自分が冷や飯を食わされて
いるので、負け惜しみを
言っているのだと
思っていました。
そして残念な気持ちに
なったのです。この会社で
うだつが上がらないから
転職するのかと・・・。
しかし、その20年後
アパレルの国内有名チェーン店が
次々と倒産し始め
アパレル小売店の勢力図は
大きく塗り替えられる事と
なるのです。
アパレル小売店に勤めていた
人間は、次々とリストラされ
自分達が頑張って大きくした
会社を追い出されてしまいました。
まさに20年前AR先輩の
予測した通りでした。
ただ、彼が本当にこの状況を
予測出来ていたのか
それとも私が思った通り
冷飯を食わされた故の
負け惜しみだったのかは
今となっては
分からずじまいですが・・・。
この先輩とはこの時の
立ち話だけの付き合いで
あったにも関わらず
私の記憶に、今でも強烈に
残っています。
何故なら彼は20年後の
アパレル小売業界の衰退を
バブルのその時点で
予測していたからです。
「頂点こそが下り坂の入り口。」
そんな言葉を何かの本で
読んだ事があります。
AR先輩はバブル時のアパレル
業界が、頂点に差し掛かって
いる事で、後は下り坂に向かって
行くことを予測していたのかも
しれません。
「ARさん辞めたんだって。」
社内で皆が「何故だ?何故だ?」
と噂している時に
私は「本当に辞めたんだ。」
そう驚いたと共に、感動さえ
覚えました。
何故なら、その当時
人生のプランニグに於いて
資産作りで生計を立てていこう
なんて人は、まるで宇宙人の
ような存在であったからです。
私は飲みにケーションが大好きで
沢山の人達と飲みに行き
お付き合いさせて頂きましたが
忘れてしまった人達も
少なからずいます。
しかし、AR先輩とはたった
1度の立ち話でしたが
その話の内容のインパクトの
強さに、彼の顔は
今でも忘れられません。
社内では寡黙で一見うだつが
あがらないようなタイプで
あったAR先輩。
人付き合いも下手で、彼の豪遊
話など聞く事は皆無でした。
そんな先輩が仕事では無く
実は、人生の生き方の実力者で
あった事が、今ようやく私には
理解出来たのです。
20年前から既に資産形成に
取り組まれたAR先輩。
今頃は南国の島で優雅に暮らして
いるのかも・・・。
いや、それは私のような
成り上がり志向の人間の発想で
彼なら、質素倹約を重ねて
さらなる資産を増やしている事
でしょう。
そして万が一、彼と再び出会う事が
出来たなら、きっとAR先輩は
私にこう言われる事でしょう。
「な、俺の言った通りだろう。」
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