ピーナ物語「また会いに来てね」


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「ソイ!私をハグして!」

そう言って腕を広げ、抱っこを
せがむようなピーナに
私は驚いてしばらくの間
彼女を見ていました。

いや、彼女のその強い視線に
私は動けずにいたのです。

その時間はわずかな
間だったのかも知れませんが
私には長く感じました。

「もうこの人は
来ないかも知れない。」

彼女は私の態度にそう
感じたのかも知れません。

彼女を見ると、とても
不思議な目をしていました。

その目には何とも言えない
優しさ・・・、いや愛しさ
いや、幸福感でしょうか

本当に説明のつかない
沢山のメッセージに
満ち溢れていました。

それは私が半年の期間を経て
わざわざ会いに来てくれた事に
今夜本当に喜んでいるように
思えたのです。

例えばゴーゴーならPBして
アフターで食事に行ったり
ディスコに行ったりして
レディ達と思うような楽しい
時間を過ごす事が可能です。

そして自分にその気が有れば
当然、ブンブンもOK!
一気にレディとの親密な
関係が築けます。

しかし、このフィリピンクラブ
のように、ただ椅子に座って
酒を飲み、話すだけの空間で
私は楽しさなど、全く探す事が
出来ませんでした。

ピーナクラブのレディ達は
ゲストをアフターや
ブンブンで繋ぎとめる
手段が無い為に、それ故に

懸命にラインでの営業を仕掛けて
いるのだと思います。
彼女の半年間のラインも
この延長で有ったのかも
しれません。

私の最後が、消化試合を
思わせるような
態度になったのも
こんな理由からでした。

まぁ、結局は私を店に
呼びたかったんだよな的な・・・。

しかし、彼女の方はというと
私の思いとは全く違うようでした。

消化試合どころか、自分が
半年間毎日ラインしていた相手が
ついに会いに来てくれた。
そんな感動があったのかも
知れません。

フィリピンクラブの
新人であったピーナは
ほとんどカスタマーがいない状態。
コロナ禍で、新規ゲストは
さっぱり・・・。

そんな中で自分が懸命に繋ぎ
止めようとしたゲストの私が
今宵自分に会いにお店に
はるばるやって来てくれた。

その事で、私に対して何らかの
感情を持ち始めてくれて
いたのかも知れません。

いや、既に何等かの感情を抱いて
この日を迎えてくれたのかも
知れませんでした。

その日の待ち合わせで
外で会った時、いきなり
私の腕に抱きついてきて
歩きだしたのを
思い出したからです。

その時の彼女は
本当に嬉しそうでした。

私がある日を境に
彼女のラインに
毎日リプライしていた事を
とても喜んでくれていたのです。

彼女達のラインは基本
一方通行です。無視される
事も多く、時にはブロック
されます。

「なんだよ、またかよ!」
「ほんと、うざいな」的な・・・。

悲しいかな、それが現実です。

実際のところ、私もその1人
でした。ただ、私は自分が寂しく
なった時に、彼女に連絡をした
自分勝手なお詫びに

その後は毎日欠かさず、彼女から
来るラインに返事を返して
いたのです。

39歳差の若いレディが
自分の腕に絡んで歩く姿は
日本では流石に
周りの目が気になり
照れてしまいました。

逆に彼女はそんな事など
お構いなしに私に寄り添い
まるで本当の恋人同士のように
歩いてくれたのです。

チェックが終わり、帰り際に
見せた彼女のその行為は
決してゲストに対しての
単なるサービスには思え
ませんでした。

私はそんな彼女が突然
物凄く愛しく思い
彼女に近づき
ハグしてあげたのです。

驚く事に、ハグした彼女は
私の背中に回した腕に
力を入れてきました。

彼女に強く抱きつかれ
私は年甲斐も無く
ドキドキしてしまったのです。

逆に言えば、ゴーゴーバーなどで
こんな親密なハグなど
経験した事が無く
ある意味とても新鮮でした。

彼女が力を込めたので、彼女の
胸の隆起が私の胸に、はっきりと
伝ってきます。そしてそれと共に
彼女の温かい体温も・・・。

彼女の何とも言えない
芳(かんば)しい香りと共に・・・。

そして彼女が私の胸に
顔を埋(うず)めながら
呟くようにこう
言ったのです。

「ソイ、また会いに来てね。」

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