ピーナ物語「幕引きはハグで・・・。」


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「エピローグ 完」


その時はピーナと何か
とりとめのない話を
したような記憶が有ります。
しかし、その内容はほとんど
覚えていません。

何故なら彼女といても少しも
楽しいと思えなかったからです。
2人の間にはただ、時間だけが
虚しく過ぎていきました。

ドンは気をきかせて
途中で帰っていました。
その後また、自分のお気にの店に
行ったようです。

しばらくすると店長がやって来て
私達の席に座ったのです。
そんな事は今まで無かったので
少し驚きました。

そしてピーナに向かって

「お客さんが謝りに来てくれる
なんて、幸せな事じゃないか。」

「ありがたく思いなさい。」と

そして私に向かって

「これ以上何か有れば直接私に
言ってきてください。」

そう言ってくれたのです。

さすがは店長です。
しっかりとフォローUPに
来てくれました。

まぁ今の状況下で、私は
店の売上に多少なりとも
貢献してきたと思います。

ドン程ではないですが
私もピーナにはその都度
財布が空になるまで
ご馳走してあげていたからです。

更にはドンの知り合いだと
分かったのも影響したのかも
知れません。

店長としては、そんなゲストを
逃がしたくないのは当然だと
思います。

ただ、いくら店のレディだから
といっても、男女の色恋沙汰を
店長に解決してもらうなど
自分の中では筋違いだと思いました。

なので、店長にはお礼だけ言って
気持だけ受け取らせて
もらったのです。

ママさんが来て「時間です。」
「どうしますか?」
そう尋ねてきました。

もう長居はするつもりは
これっぽちも有りませんでした。
なので「ありがとう。帰るね。」
そう言ったのです。

そしてピーナに向かって
ありがとうと・・・・。

私は会計を終え
立ち上がりました。

「じゃあね。」ピーナに向かって
そう言った時、突然物凄い感情の
波が押し寄せてきました。

それは

「もう彼女とはこれが最後なのだ。」

そんな別れの感情でした。

自分でも予想外でした。
それまでは完全にニュートラルな
気持であったのですから・・・。

大きく波打つ例えようの無い
私の気持ち。

「何故だ!」

「どうしてなんだ!」

「何故こんな事になって
しまったんだ!」

「あんなにも惹かれていたのに。」

そんな私の心を知らない彼女が
何時もと違う私を寂しげな目で
じっと見つめていました。

まさにそれは私とピーナとの
恋に落ちた初めての
夜のようでした。

あの時、私はもうこの店に
2度目に来る事は無いと
思ったのです。

ところが彼女に

「ソイ、ハグして。」

そう言われ、私はその日から
彼女に惹きこまれたのです。

そんな思いが私の頭を
駆け巡り、何を思ったのか
私は突然彼女をハグしたのです。

彼女は驚いていました。
ただ、何の抵抗も無く
私にその身を任せていました。

抱きしめた彼女から
温もりが伝わってきます。
私は一瞬目を閉じ、初めて彼女と
ハグをした時の事を思い出して
いました。

懐かしい彼女の甘い香りに
このまま眠りについて
あの時に戻りたい。
そんな誘惑にかられたのです。

何もかもリセットし、始めから
やり直せればどんなにいいか・・・。
そんな思いにかられたのです。

心の中で悲痛な叫びが
聞こえました。それは

「ピーナ、いつの間にか僕は
君を愛していたんだよ。」

そんな言葉だったのです。

彼女を抱きしめながら
私は保護愛から始まった
彼女との愛が、本物に変わって
いた事に気付かされたのです。

しかし、我に返りピーナの
体から離れると
彼女は何かを悟ったような
悲しげな目で私を見ていました。

ハグで始まり、ハグで終わった
私達の短い恋物語。

私は立ち上がり店の扉に向かい
ました。いつもなら何度も
振り返りピーナに手を振ったの
ですが

この日は一度も振り返らず
私は扉の外へ出たのです。

それは私が言葉にしない
いや出来ない
今の気持ちの表れを彼女へ
伝えたかったからです。

もう後戻りはしないよと。

その日から再び彼女から
ラインがきましたが
全て既読スルーしました。

もしかすると店長から
「ゲストを大切にしろ。」
そのように注意され
再びラインを
してきたのかもしれません。

彼女のメッセージは3日程
既読スルーを続けました。
それがどんな気持ちなのか
彼女に分からせる為です。

そして最後にこんな
メッセージを打ったのです。

「あなたは、心待ちにしても
来ない返事を待つ私の気持ちが
分かりましたか?」

「私はもう、あなたのいつ
くるか分からないリプライを
待つのに疲れました。」

「なので私はもうあなたに
二度と連絡しません。」

「だからあなたも私に
連絡する必要は無いので
安心して下さい。」

そんなラインを打ち終え
そして私は
彼女をブロックしたのです。



追記)

私が最後彼女に会いに行った翌日
彼女のタイムラインに
こんな投稿がされていました。

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この投稿が何を意味するのか
もう聞く必要は有りませんでした。

何故なら既に何もかも終わって
幕は下りてしまったのですから・・・。

ピーナ物語 第1部 完

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それでも俺はタイへ行く