ピーナ物語「嗚呼!悲しきかな夜ピナ達よ!」


ピーナ物語「嗚呼!悲しきかな夜ピナ達よ!」

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カンナは泣いていました。
私は彼女をそのままにして黙って
いたのです。

いや、彼女のその姿に、何も
声が出ませんでした。

ゲストがいない店は静まり返って
まるで私とカンナだけの世界の
ように感じたものです。

ウェイティングスペースのレディ達も
自分達のスマホに何か打ち続けて
下を向いていました。

こちらに気を使っているようにも
思えたのです。

多分カンナは切羽詰まって
どうしようもなくて、私から
お金を引き出そうとしたのでしょう。

彼女のフィリピンの家族は全く仕事が
有りません。そして父親と母親は
病気で動けません。

その薬代や病院代が彼女の肩に
重くのしかかっています。

フィリピンの家族達は娘が日本に
行けばさえ、お金がどんどん送金
されてくる。

そんな蜃気楼を見ています。

そんな親達は実際多いようです。

親の苦労・子知らずの真逆の
娘の苦労・親知らずなのです。

しかし、今はコロナ禍の元、カンナは
送金どころか、自分が食べるお金で
さえ、ろくに稼げていません。

だからといって店が、彼女達に何か
してくれるのか?そんな甘い事は
無いでしょう。

にっちもさっちもいかなくなった
人間が取る行動。それが悪い事だと
分かっていても、相手からお金を
引き出そうとする

それがカンナの行動
だったのでしょう。

嗚呼!悲しきかな夜ピナ達よ!

目の前のお金の為に、大切な
カスタマーを裏切るなんて・・・。

自分の将来の事を考えてくれる
私までをも裏切らなければ
いけなかったその辛い気持ちを
考えると

私は全てを許してあげようと
思ったのです。

彼女の涙が無言の謝罪を物語って
いて、私はそれを
受け止めてあげたのです。

カンナが私から離れました。

私はバッグからハンカチを出し
手渡してあげます。

彼女はその涙を拭っていました。

私は彼女の小さな手を握り
こう言ったのです。

「もうお金は返さなくていいよ。」

すると彼女はうつむいたまま
首を振り

「ヤクソク・マモル」

そう言ったのです。

そしてその後、本当に彼女は私に
10万を返済してきました。

それは多分、店に前借したと思われます。

動機は分からないのですが、私との
約束は守らなければいけないと
分かったようでした。

私はこの時思ったのです。

カンナは私からお金を搾取しようと
したのでは無く

彼女の家族の為に、何も考えずに
そのような行動を取ったのだと。

家族からの送金依頼のストレスから
そのストレスから逃げたいが為に
その為だけに、苦し紛れの為に

私からお金を引き出したようでした。

それなら、何故助けて欲しいと
言えなかったのか?

何故素直にお金が欲しいと
言えなかったのか?

そこには悲しきかな、彼女なりの
小さなプライドがあったようです。

お金を欲しいなんて言えない。
そんな小さなプライドです。

いや、ピーナ特有の
「ハズカシイ」なのです。

頼って欲しかった。
助けてと言って欲しかった。

しかし、彼女は心の中でこう
叫んでいた筈です。

「助けてソイ!私は苦しい!」

「お金が・家族の為にお金が必要!」

「もうこんな生活から逃げたい!」

そんな彼女の心の叫びを私は見抜いて
やる事が出来なかったのでした。

カンナ・約束を守ってくれて
ありがとう・・・。

そして君の苦しみを見抜けなかった
僕を許しておくれ・・・。

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それでも俺はタイへ行く