マッチング物語「さようならアヤ・後編」
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マッチング物語
「さようならアヤ・後編」
*****
彼女とさよならした時、周りの友人達
からは、ほぼ同じような事を言われ
ました。
それは
「えー!勿体無い!」
そんな言葉です。
ただ私は意外に淡泊で、どちらかと
言えばハンタータイプなので、自分
が仕留めた(落とした)と思える
ような感覚が持てれば、もうその時点
で満足出来るのです。
逆に言えば、後は続こうが続くまい
かは変な言い方ですが、相手次第。
相手次第というのは、自分の気に入った
ようなレディでいてくれるか否かなのです。
私はその都度、その子に求めるレディ像
があり(これはレディによって違います)
その枠から大きくはみ出してしまうと
一気に興覚めしていくのです。
今回のアヤもそうでした。
彼女に対して求めていたキャラクター
アヤ像から、彼女は段々とその枠を
はみ出していったのです。
ただ、それは「良い意味で」でした。
なので周りからは勿体無いと思われ
ても、私にはもうこれ以上無理。
そんな感覚で終止符を打ったのです。
勿論、全く後ろ髪を引かれない訳では
有りません。彼女には会う都度惹かれて
いっていたのですから・・・。
アヤと部屋に戻りました。
2人でシャワーを浴び一戦を終え
私達は何時ものようにベッドの上で
話だしました。
その時、ふとこんな話を彼女が
しだしたのです。
彼女は友人達とワンルームを3人で
シェアして住んでいます。
まぁ、基本ワンルームというのは
単身用で、基本は1人・住めても
2人までなので
彼女達は管理会社に内緒でシェア
しているのでしょう。
ただ、昔から女3人集まれば、必ず
2:1に割れると言われてますが
やはりある程度暮らしていると彼女達
もやはり、そんな状態になってきた
ようです。1がアヤでした。
学生で定職の無いアヤは、そんな
雰囲気の中、自分が嫌な気持ちに
なり始めても部屋を出て行くことが
出来ません。
当然です。
管理会社が定職の無い彼女に貸しては
くれませんし、彼女自身も家賃を一人
で支払う能力など無いからです。
家を飛び出した彼女に親が保証人に
なってくれる訳も有りません。
そんな話を私にポツリ・ポツリと
し始めていました。
私は
「そうなんだね。大変だね。」
「やっぱり、シェアって相手との
相性が大事だからね。」
そんな慰めの言葉をかけてあげました。
すると突然彼女が私の顔を見て
「ソイ君の部屋で一緒に住もうかな。」
そんな言葉を投げかけてきたのです。
以前、彼女は私の部屋に泊まりに
行ってもいいよ。そう言ってくれて
いました。
ただ、それは会いたい時にだけと
いう意味で、ずっとでは有りません。
それが、彼女の口から私の部屋に
行きたい(暮らしたい)との言葉が
出たのです。
私程の年齢になると、相手の言葉が
完全なるジョークか、もしくは本気
なのかは、その話の流れの中で分かる
ものです。
彼女はその時、私の「いいよ、一緒に
住もうか。」そんな言葉を期待して
いるかのように聞こえたのです。
いや、間違い無くそうでした。
決して自惚れでは有りません。
何故なら、彼女はもう私がOKして
くれるだろうと肯定的な文で私に
その言葉を投げかけたのですから。
「ソイ君の部屋で一緒に住もうかな。」
この言葉は「もうアヤはソイ君の部屋に
行く事に気持ちが傾いているんだよ。」
そう聞こえたのです。
これが私がまだ30代なら、彼女の
そんな期待に応えてあげたかも
知れません。
仮に私が「いいよ。」そんな事を言って
本当に彼女と同棲なんて事になれば
日本人の若い学生とこんなオヤジが
一緒に住むなど、やはり世間は許さ
ないと思うのです。
所謂、洒落にならないという事です。
これがあまりにも若い日本人レディと
付き合う悲しい性(さが)なのです。
ただ、不思議とこれが外国人なら
以外にも世間は寛容なのです。
やるな~オヤジ。若いレディとうまく
やってるなぐらいに。
そして例えばタイやフィリピンなら
その家族も「おお!日本のATM。
ようこそ我がファミリーへ」のように
歓迎してもらえるでしょう。
しかし、アヤが日本人だからこそ世間
の目「世間体」というものが私の中に
存在していました。
今の今まで、彼女との「同棲」は
あくまでも私は洒落で書いていました。
そんな事が起きれば夢みたいだと。
ただ、世の中には「夢」が「現実」
になってはいけない物もあるのです。
アヤとの同棲など、当然洒落だけで
現実にはなっていけいない事でした。
おまけに彼女には親御さんが健在
なのです。
自分の「娘」が自分の「親」ぐらいの
年の見ず知らない男と暮らしていると
知ったら、へたをすれば警察などに
相談に行くかも知れません。
騙されて軟禁でもされているのでは
ないかと・・・。
最近彼女が私に対して頻繁にアプローチ
して来ている事をブログで書いて
いましたが
彼女が私の事を物凄く頼りにしている
事を分かっていました。
それは恋愛というよりも、父親の愛に
甘えたい。そんな感覚だと思います。
ファザコンと少しだけ強い恋愛感情
そんなものが、彼女の心の中を完全に
支配し始めてしまったようでした。
私の経済援助とそして人生を切り抜けて
きたスキル。そんなものが彼女が私の
そばにいて安心出来る材料となったの
でしょう。
間違っても私の見た目が気に入った
訳ではない事は確かなのですから。
家が嫌で飛び出した若いレディ。
そしてルームメイトとは不協和音。
更にはボーイフレンドには過去に
詐欺に会わされ裏切られた。
そんな全てが重なり、私への保護愛の
ようなものに傾倒してしまったのかも
知れません。
私は彼女を本当に大切に扱いましたから。
ワンルームでの3人での共同生活に
精神的に疲れてきた彼女は、ふと
私に庇護を求めてきたのでしょう。
ただ、彼女がファザコンであっても
私には彼女と過ごす時間の全てが
「恋愛」という土俵の上でした。
なので、私が彼女の態度に勘違い
してくるのも当然の流れです。
アヤは本当に俺を好きになってきて
いるのではないか?と。
仮に20歳(はたち)の学生と本当に
同棲などしてしまったら
やはり、世間からは私の道徳観念が
疑われると思います。
何を考えているんだと・・・。
4世代も違うアヤと私。
アヤに許される事も私には許されない。
当たり前ですが、そんな1線があるの
です。
仮にアヤが本気になってくれても
私は決して本気になってはいけない
そう思っていました。
私はアヤの気持ちが段々と私に傾倒
してきている事を感じていました。
私と平気で旅行に行ける事もその裏付け
ですし、おまけにその日は彼女の
誕生日なのです。
彼女は2人の写真を撮る事にも全く
平気になっていましたし、人前でも
手を繋いできます。
私の方が気にして
「大丈夫なの?」と聞くと
「なんで?いいよ。」と
彼女はUSJに私と行く事に全く抵抗が
無いのです。まるで恋人同士のように。
ただ、私は大いに抵抗を感じていました。
「ソイ君と一緒に住もうかな。」
そう言って私を見つめた彼女。
その目は間違い無く私を試して
いました。
「私を受け入れてくれる?」と
ただ、この一言が私の心の中のエマー
ジェンシーコールのボタンを押して
しまったのです。
彼女とこれ以上、深入りは禁物だと。
信じられないかも知れませんが
私はこれ以上彼女といると、本当に
彼女から離れられなくなるかも
知れませんでした。
あり得ない組み合わせなのに。
そう、あり得ない夢のような相手
だからこそ、このまま付き合って
いては、後戻り出来なくなるかも
しれないと・・・。
こんな素晴らしいお姫様は私の前に
もう2度と表れないのではないかと。
こんな関係になってきた事は本当に
奇跡としか思えないからです。
だからこの先、彼女を絶対に離さない
的な気持ちになる可能性もあったのです。
彼女が私の想像を超えたアプローチの
数々を投げかけてくるようになった
からです。
なので、私は彼女に別れを告げる事に
決めました。今ならまだ、間に合うと。
今ならまだ、自分の気持ちが冷静で
いられたからです。
悲しいかな、私は彼女に本気になって
はいけない社会的立場の年齢なのです。
彼女が部屋から出て帰りました。
何時ものように・・・。
私はベッドの上で天井を眺めながら
しばらく考えていたのです。
どうしようかと・・・。
アヤは可愛い。アヤが愛おしい。
ガラス細工のような私の宝物です。
ついさっきまでいた、彼女のぬくもりや
彼女の甘い匂いがベッドに残されて
います。
髪を洗った彼女の濡れた髪をこの日も
乾かしてあげました。
その感触もまだ手の中に残っています。
艶のある、掌で何時までも触っていたい
しなやかな20歳の髪です。
まさか、マッチで出会った彼女と
この半年近くで、ここまでくるとは
当初夢にも思いませんでした。
半信半疑で始めた、たかがマッチで。
しかし、私の中でもうこれ以上彼女と
進んではいけない。
夢で終わらせなければいけない。
そんな気持ちが沸き起こり、私は
スマホを手にしたのです。そして
こんなメッセージを彼女に送り既読に
なった瞬間ブロックしたのです。
彼女から何も返事が出来ないように
しました。彼女の返信次第では
私の決断が間違い無く揺らいでしまう
からです。
さようならアヤ。
本当に素敵な夢を見させてくれて
ありがとう。
私の前に突然現れたお姫様は
かぐや姫のように、マッチアプリ
という月に帰って行ったのです。
まさに竹取物語のような
夢のような出来事でした・・・。
明日への励みになります。
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