ソムタム投稿【●第239話 コロナ保険】

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「Covid保険に入ったの」

嬢からラインが来ました。

「1000バーツの掛金で、もし
 感染したら10万バーツくれる」

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コロナ保険がいろいろ出ていた
ようで、画像の分はまた別の
保険の例です。

オリジナルはタイ語ですが
Google翻訳したものです。


タイは日本ほど健康保険制度が
徹底していないので、病気に
なると高額な自費負担のため
治療をあきらめる庶民も多い
そうです。

給料から天引きという日本の
仕組みは、健康なうちは無駄に
なりますが、いざ病気となると
健康保険のおかげで助かります。

タイではもちろん個人で保険に
加入している者もいますが、
嬢のような職業では微々たる
ものです。

なので、ふだんの風邪発熱や
下痢はほとんど薬局で済ませ、
よほどのことでないと病院に
行きません。

さすがに虫歯は痛み止めで
ごまかせなくなるとクリニック
に行きますが、安上がりに抜いて
おしまいです。


「もともと病気がちだから、保険に
 入っておいた方が安心だな」

「ワタシじゃないの。娘だけ入った」

それって逆じゃないの?と思いました。

娘は若いからたとえかかっても
症状は軽く済むだろうに。

「ワタシは感染して死んでも仕方
 がない。でも娘はちゃんと治療
 してやりたい」

なるほど、そういう理屈か。


「姉さんなんか、Covidよりも
 食べ物がなくなって飢え死に
 する方が怖いって言ってるわ」

当時パタヤでは、ロックダウンとか
食料買い占めとかの噂が流れていました。

「ワタシは小さいころ、体が弱くて
 病気ばかりしていた」

嬢が昔語りを始めました。

「うちは貧乏だったから、母さんは
 3人目のワタシを身籠ったとき、
 おろそうとして薬を飲んだの。
 でもワタシは生まれてきた」

タイでは中絶は違法です。

だから薬を使ったのですが、
そのことよりも本人がそれを
知っているのが衝撃でした。

いったい誰が、いつ嬢に教えた
でしょうか。母親?それとも家族?

いずれにしろ、自分は望まれずに
生まれてきたという事実を
背負って生きていくのは辛い。

夜嬢は社会の底辺で生きてきた
子もたくさんいます。

自分では承知して相手している
つもりですが、時折こうして
予期せず言葉を失ってしまう
こともあります。


コンビニの駐車場でビデオコール
をしました。

「薬のんでるけど咳が止まらない。
 このまま死んでしまうかもしれない。
 そしたらあなたに会えなくなる。
 娘のめんどうは誰が見てくれるの?」

寝込んでいるわけではなく、元気は
あります。

「病院でもらった薬はちゃんと
 のんでいるか?」

「1回のんだ」

「ちゃんと言われた通りの回数
 のまなきゃだめだ」

お金を払って薬ももらっているのに、
これでは効くものも効かなくなります。

その場で熱も測らせましたが、35.8℃。

「パタヤは今夜からバーやディスコは
 みんなクローズよ」

その頃、バンコクでも3月いっぱい
多くの店が休業になっていました。

こんな状況では悲観的になるのも
無理はありません。

「ちょっと昼寝するわ」

そして嬢が寝ている間に、通っていた
マッサージスクールから、休校を
知らせるラインが届いていました。

2020年3月17日、スクールに通い
始めてから2週間足らず。

4講座受ける予定の2つを終了した
ばかりでした。

休校は、来月12日までとなって
いますが、一応そこで区切って
いるだけで、そのあとはまた
様子見です。

もちろん再開の保証はありません。

見通しは誰にもわかりません。


「仕方ないわ。バーもマッサージも
 レストランも、どこもみな同じ」

これでいきなり廃業してしまう
ようなスクールではなさそうですが、
全ての人々が、みな明日をも知れぬ
不安な状況なのは間違いありません。

せっかく新しい生活に向けて動き
出した嬢と娘。

二人はどうなってしまうのでしょうか。

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